以前のエントリーで低温調理機の自作を検討していたが、Anovaオフィシャルサイトでブラックフライデーセールが行われ、99ドルで買えてしまうという事だったので飛びついた。この値段ならば自作する意味が無い。僕と同じように、Anova知名度向上の元凶となった
小林銅蟲氏に影響された日本人からの注文が殺到したのか、到着までは2週間近くを要した。
低温真空調理とはなんぞやという事だが、端的に言うと、たんぱく質であるミオシン・アクチン・コラーゲンが変性、凝固する温度帯が50度〜70度の間なので、真空パックで密封した食材をその範囲内で定温均一に加熱する事により、肉などの柔らかさと旨みを保ったまま調理できるという手法だ。よく知られるようなローストビーフの余熱調理や、炊飯器での保温調理はまさに低温調理と言えるが、そういった調理法における低温での温度管理をより簡単手軽に実現できるガジェットがAnovaである。
Anovaにはヒーター、ポンプ、サーモスタット、タイマー、Bluetooth(Wi-fiモデルも有る)が内蔵されていて、0.1度単位で水温を調整でき、ジップロックに放り込んだ肉を放置するだけでズボラにおいしい料理ができる。
このようにセットして使う。スマートフォン用専用アプリがあるので、アプリからコントロールする事が可能。
参考リンク
ファースト調理・ローストビーフと薄いステーキ
まずはAnovaの基本となるローストビーフから。肉はせっかくだからと地元産の窪川牛を選んだ。やっていきましょう。
低温調理で用いる温度帯は菌が増殖する温度でもあるので、感染リスクを抑える為に念入りに殺菌を行う。調理器具の殺菌には煮沸消毒と食品対応の消毒液を使用した。調理器具は勿論のこと、自身の手も念入りに洗浄・消毒を。
牛肉を室温に戻し、肉の重量に対して0.8%の塩をなじませる。
ジップロックに入れたあと、水圧を利用して真空パックもどきに。
55度、2時間で保温調理開始。
日本のAnova界では60度以上は合法、それ以下は違法と言わている。殺菌に要する時間、温度は菌種により異なるので各自調査のうえ自己責任のもと調理を行うように。
2時間後の状態。トングで掴むとグニっとした感触で、見た目も匂いもあまり美味しそうに思えないが、ここからフライパンで表面を焼いて、表面の殺菌、メイラード反応による香り付けを行う。これ全然ローストじゃないな。
表面を強火で焼くと、食欲をそそる香りが広がる。
せっかくなのでステーキも食べたい。
端っこの筋はあえて取らなかった。ジップロックに肉、にんにく、牛脂を投入後、Anovaで53度・40分調理。調理後は煙が出るくらいに加熱したフライパンで焼き色を付ける程度に焼き、ジップロックにたまった肉汁と醤油、バターでソースを作った。
それでは、早く食べたいので雑に盛り付けていただきます。
ウワー
噛めば噛むほど肉の旨みが感じられる。超絶うまい。ローストビーフはあまり好きでは無かったが、はじめて心から美味しいと思えた。火の通りは、ブロックから切り出した時に見るとこれほぼ生だ…とドン引きしたが、噛んでみると生のそれとは違う、火の通ったサクっとした歯応えがあった。ステーキはあえて残した筋を含め隅から隅まで柔らかく仕上がっていて驚いたし、何より肉汁があふれてきてうまい。よかったですね。
次は豚をやっていく予定です。